学習法
英語アプリは無料で足りる?独学におすすめをレベル・目的別に整理

結論
無料アプリだけで英語の独学は十分に進められる。ただし「1つのアプリに全部やらせよう」とすると遠回りになりやすい。文法・単語の土台づくり、リスニング、語彙の長期定着、話す練習、試験対策では、得意なアプリの種類がそもそも違うからだ。この記事では定番の「無料アプリ比較・おすすめ10選」のような横並びランキングではなく、CEFR段階(今どのくらいのレベルか)と、伸ばしたい力(語彙/リスニング/話す/試験)の掛け算でアプリを整理する。各アプリの「無料でどこまで使えるか」の実際の範囲も明記した。
この記事のポイント
- 無料アプリはほとんどが「フリーミアム」(基本無料+一部有料)。どこまでが本当に無料かはアプリごとに差が大きい
- 選び方は「今の段階(基礎固め/リスニング強化など)」×「伸ばしたい力(語彙・リスニング・話す・試験)」で決める
- 「話す」練習だけは無料アプリだけで完結しにくい——言語交換アプリか、本物の会話相手が必要になる(§4・§6)
選び方の考え方:CEFR段階×目的で選ぶ
「英語アプリ おすすめ」で検索すると、レベルも目的もバラバラのアプリが1つのランキングに並んでいることが多い。だが、中学英語をやり直したい人と、TOEICで800点を狙いたい人とでは、そもそも必要なアプリが違う。この記事では次の5つの目的別に整理する。
- これから始める人・基礎固め(文法・単語の土台、目安A1〜A2)
- リスニング力を伸ばしたい人(目安B1〜B2)
- 語彙・フレーズを長期記憶に定着させたい人(間隔反復・全レベル)
- 話す・書く練習をしたい人(アウトプット)
- 試験対策を無料で進めたい人(TOEIC・英検)
自分が今どの段階にいるか分からない場合は、英語独学ロードマップで全体像を確認するか、レベルチェックで目安を把握してから読み進めるとよい。
無料でどこまで使えるかは変わることがある
フリーミアムアプリの無料枠(機能制限・広告の有無・回数制限など)は、アプリ側の方針変更で変わることがある。本記事は執筆時点(2026年7月)で確認できた内容にもとづく。契約前に必ず公式サイト・アプリ内の最新表示を確認してほしい。
① これから始める人向け:基礎固め(目安A1〜A2)
Duolingo — 文法・単語をゲーム感覚で毎日
世界的に最も使われている語学学習アプリの1つ。40以上の言語コースを無料で提供しており、文法・単語・リスニング・スピーキングの基礎練習は無料プランでも一通り使える。無料プランの制限は主に2つ:ハート(ライフ)制(間違えると減り、なくなると一時的に学習が止まる)と広告表示。有料のSuperプランはハート無制限・広告非表示・オフライン利用などが加わる。ゲーム感覚で毎日続けやすい設計だが、文法の体系的な解説は薄めなので、前置詞の使い分けのような、つまずきやすい単元をピンポイントで解説する記事と併用すると理解が深まる。
mikan — 英単語を高速で回したい人向け(無料枠の範囲に注意)
日本で広く使われている英単語アプリ。無料プランは英→日(英語を見て意味を答える)形式のみで、日→英形式やリスニングモードは有料のLite/Premiumプランでのみ使える(収録教材数も無料プランは有料プランよりかなり少ない)。「まず英単語の意味をとにかく高速で覚えたい」という段階には無料枠でも十分だが、「聞いて分かる」「英語で言える」まで求める場合は有料化を検討するか、後述のAnkiのような完全無料の代替(Android/PC)に切り替える選択肢もある。
② リスニング力を伸ばしたい人向け(目安B1〜B2)
BBC Learning English「6 Minute English」
イギリスの公共放送BBCが無料で提供している学習者向けリスニング教材(bbclearningenglish.com)。1本6分程度のポッドキャスト形式で、時事的なトピックを題材にネイティブの自然な速度の会話を聞く。トランスクリプト(文字起こし)・語彙解説・クイズがすべて無料で公開されているのが強み。ポッドキャストアプリで「BBC Learning English」と検索すれば音声だけでも聴ける。速すぎると感じる場合は、まず文字を目で追いながら聞く「読みながら聞く」から始めるとよい。
VOA Learning English
アメリカの国際放送局VOA(Voice of America)が運営する、英語学習者向けの無料ニュース・リスニング教材(learningenglish.voanews.com)。最大の特徴はBeginning/Intermediate/Advancedの3レベルに分かれていること、そして通常のニュース英語よりゆっくり・明瞭な発音で読まれる点。VOA自身が配信する公式スマホアプリのほか、公開されているコンテンツを使った無料アプリも複数ある。ニュースを題材にした自然な英語に、レベルを合わせて触れたい人に向く。
NHK語学講座(らじる★らじる/らくらじ2)
NHKのラジオ英語講座(ラジオ英会話など)は、NHKの公式radikoアプリ「らじる★らじる」でのライブ配信・聞き逃し配信が無料で聴ける。「らくらじ2」のような聞き逃し番組をダウンロードできる無料アプリを組み合わせれば、通勤・通学中にもまとめて聴きやすい。音声そのものは無料だが、詳しい解説が載った付属テキスト(雑誌)は別売りなので、テキストなしでどこまで理解できるかは自分の段階次第——文法・単語の基礎がまだ不安な場合は、先に英語学習の始め方で土台を固めておくと聞き取りやすくなる。
③ 語彙・フレーズを長期記憶に定着させたい人向け(全レベル・間隔反復)
単語・フレーズの「覚え方」自体の考え方は英単語の覚え方のコツで扱っているとおり、間隔反復(spaced repetition/忘れかけたタイミングで復習する仕組み)が土台になる。ここでは、その仕組みを実装したアプリを紹介する。
Anki(Android/PC/Webは無料、iOSのみ有料)
間隔反復フラッシュカードの定番アプリ。Windows・macOS・Linux版のデスクトップアプリ、ブラウザ同期サービスのAnkiWeb、Android版のAnkiDroidは無料。一方でiOS版のAnkiMobileのみ有料(買い切り)という珍しい料金体系になっている(開発者による説明では、iOS版の売上がデスクトップ版やAnkiWebの開発・維持費を支えている)。自分で単語カードを作る手間はあるが、既製の単語帳データを取り込むこともでき、無料の範囲だけでも本格的な間隔反復学習が完結する数少ないアプリ。iPhoneユーザーで無料に完全にこだわる場合はAndroid版やPC版を併用する、あるいはWeb版(AnkiWeb)をスマホのブラウザから使う方法もある。
Quizlet — 既製の単語カードをすぐ使いたい人向け
単語カード作成・共有アプリ。無料アカウントでもカード作成・学習は可能だが、学習モード(Learn)やテストモードの利用に一部制限があるほか、オフライン利用や広告非表示は有料のQuizlet Plusが必要。他のユーザーが公開した単語セットを検索して使えるため、教材を自分で作る手間を省きたい場合に向く。何をどの順で覚えるか自体に迷う場合は、学習ロードマップで自分の段階に合った単語の優先順位を確認してから既製セットを探すと遠回りしない。
④ 話す・書く練習をしたい人向け(アウトプット)
HelloTalk
世界70百万人以上が利用する言語交換アプリ(公式サイト調べ)。ネイティブスピーカーとテキスト・音声・ビデオ通話でやり取りし、「相手の言語を教える代わりに自分の言語を教える」という言語交換の考え方で成り立っている。チャット・音声通話・ビデオ通話・翻訳や発音チェックなどの基本機能はクレジットカード登録なしで無料に使える。有料のVIPプランはさらに機能が拡張される位置づけ。
Tandem
HelloTalkと同様のコンセプトの言語交換アプリ。アプリのダウンロード・アカウント登録・言語パートナー探しは無料で、多くの基本機能も無料枠で使える。有料のTandem Proは、全機能への無制限アクセスなどが付く月額/年額課金。
ELSA Speak — 発音特化(無料枠は限定的)
AIが発音を単語・音素単位で採点してくれる発音特化アプリ。無料プランでも基本的なレッスンと発音判定は試せるが、AIとの英会話練習の回数や、詳細な発音分析(Speech Analyzer)の利用時間に制限がある(無料枠は数回・数十分程度の「お試し」に近い設計)。発音を集中的に鍛えたい段階で、まず無料枠を試してから有料化を検討する、という使い方に向く。
「話す」練習は無料アプリだけで完結しにくい
語彙・リスニング・文法の土台は無料アプリでかなりのところまで作れるが、「実際に話す」練習には基本的に相手が必要になる。HelloTalkやTandemのような言語交換、ELSA Speakのような発音判定AIは有効な補助になるが、それだけで「本物の会話」の代わりになると言い切ることはできない。本サイトでは、SRSやアプリだけでは埋まらないこの部分を補うため、検証済みの実在コミュニティ・アプリ・対面イベントを/communityにまとめている。
⑤ 試験対策を無料で進めたい人向け(TOEIC・英検)
TOEIC公式アプリ(IIBC/ETS提供)
TOEIC Programを運営するIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)とテスト開発元のETSが提供する公式スマートフォンアプリ。60本以上の無料学習コンテンツが配信されており、バイリンガル会話コンテンツ「English Upgrader」(60話以上)、日替わりの「今日のフレーズ」、3週間のスピーキング練習シリーズ「Day to Day Go!」などが無料で使える。試験日程や公式からのお知らせも同アプリで確認できる。目標スコア別の学習法はTOEIC800点の勉強法・TOEIC600点の勉強法で詳しく解説している。
英検:公式サイトの無料過去問(アプリではないが要チェック)
英検を運営する日本英語検定協会の公式サイト(eiken.or.jp)では、各級(5級〜準1級など)の直近の過去問(問題冊子・解答・リスニング音声)をPDF・ブラウザ再生で無料公開している(公開されるのは直近数回分で、新しい回が追加されると古い回は入れ替わる)。アプリではなくウェブサイトでの提供だが、対策アプリを探す前にまずここで実際の問題形式を確認しておくと遠回りしない。級別の学習法は英検準1級の勉強法・英検2級レベル、TOEICとどちらを受けるか迷っている場合はTOEICと英検の違いを参照するとよい。
結局どう組み合わせればいいか
無料アプリは「どれか1つを選ぶ」のではなく、段階が進むごとに組み合わせを変えていくのが遠回りしない使い方になる。
- 文法・単語の土台がまだの人:Duolingo(毎日の習慣化)+ mikanの無料枠かAnki(単語の反復)
- 土台はあるがリスニングが弱い人:BBC Learning EnglishかVOA Learning English(自分のレベルに近い方)+ 聞き取れなかった単語をAnki/Quizletにストックして復習
- 語彙は増えてきたが話せない人:HelloTalkかTandemで実際に使う機会を作る(ELSA Speakは発音の弱点だけを補助的に)
- 点数・級という出口が決まっている人:TOEIC公式アプリや英検の公式過去問で、実際の出題形式に触れながら上記を並行する
段階を追って学習を組み立てたい場合は英語学習の始め方や学習ロードマップ、単語の暗記自体でつまずいている場合は英単語の覚え方のコツも参照してほしい。ある程度話せる・書けるようになった先で留学や海外就職を考えている場合は、海外就職は未経験でも目指せる?で必要な英語力の目安を確認しておくと、アプリ選びの優先順位も決めやすくなる。
よくある質問
Q. 無料アプリだけで英語は話せるようになりますか? A. 語彙・リスニング・文法の土台は無料アプリでかなりのところまで作れる。ただし「話す」練習には基本的に相手が必要で、HelloTalkやTandemのような言語交換アプリを組み合わせても、実際の会話量を保証するものではない。断定的な期間や成果を約束するアプリの宣伝文句は参考程度に受け取るのが安全。
Q. 結局どれか1つだけ選ぶならどれがいいですか? A. 「今の自分の課題」で選ぶのが遠回りしない。文法・単語の土台がまだならDuolingo、単語を長期記憶に定着させたいならAnki(iOSなら無料範囲はAndroid/PC版)、というように課題ベースで1つ選び、慣れてきたら目的別に足していく方が、最初から複数を並行するより続けやすい。
Q. 無料版から有料版に切り替えるタイミングの目安はありますか? A. 「無料枠の制限(広告・回数制限・保存できる単語数の上限など)が学習の妨げになってきた」と感じてから検討すれば十分。多くのアプリは無料のままでも基礎〜中級の学習を進められるよう設計されているため、最初から課金する必要はない。
出典
- IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)公式サイト「TOEIC公式スマートフォンアプリ」(無料コンテンツの内容を直接確認)
- BBC Learning English 公式サイト(bbclearningenglish.com)および同コンテンツを扱う複数の独立した紹介記事(6 Minute Englishの無料公開範囲を確認)
- VOA Learning English 公式サイト(learningenglish.voanews.com)およびApp Store/Google Playの公式アプリ掲載情報
- HelloTalk 公式サイト(hellotalk.com):無料範囲・登録条件・利用規模の記載
- Tandem App Store公式掲載ページ:無料ダウンロード・アプリ内課金の内訳
- Anki公式サイト(ankiweb.net)・Anki公式FAQ(faqs.ankiweb.net):プラットフォーム別の無料/有料の切り分けとその理由
- 日本英語検定協会公式サイト(eiken.or.jp):級別過去問の無料公開範囲
- mikan公式サイトおよび複数の独立した第三者レビュー記事:無料プランと有料プラン(Lite/Premium)の機能差(英→日のみ/リスニング・日→英は有料等)
Sources
- TOEIC公式スマートフォンアプリ|【公式】TOEIC Program|IIBC
- HelloTalk公式サイト(実際の会話を通じて言語を学ぶ)
- Tandem: Practice Languages — App Store公式掲載ページ
- Why does AnkiMobile cost more than a typical mobile app? — Anki FAQs
- Anki - powerful, intelligent flashcards(公式)
- 過去問・試験内容|英検|公益財団法人 日本英語検定協会
- 無料で使う?課金する?英単語アプリmikanの無料と有料の違いまとめ!
- Q. プラン内容と有料プランの料金を知りたい(無料 / Lite / Premium)— mikanヘルプセンター
FAQ
- 無料アプリだけで英語は話せるようになりますか?
- 語彙・リスニング・文法の土台は無料アプリでかなりのところまで作れる。ただし「話す」練習には基本的に相手が必要で、言語交換アプリを組み合わせても実際の会話量を保証するものではない。断定的な期間や成果の宣伝文句は参考程度に受け取るのが安全。
- 結局どれか1つだけ選ぶならどれがいいですか?
- 今の自分の課題で選ぶのが遠回りしない。文法・単語の土台がまだならDuolingo、単語を長期記憶に定着させたいならAnki、というように課題ベースで1つ選び、慣れてきたら目的別に足していく方が続けやすい。
- 無料版から有料版に切り替えるタイミングの目安はありますか?
- 無料枠の制限(広告・回数制限・保存できる単語数の上限など)が学習の妨げになってきたと感じてから検討すれば十分。多くのアプリは無料のままでも基礎〜中級の学習を進められるよう設計されている。
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