学習法

英語やり直しは中学レベルから?つまずき診断と独学の順番

ノートに英文を書きながら中学レベルの英語をやり直す様子
Kristin Hardwick / CC0 (Wikimedia Commons)

結論

英語のやり直しは、中学3年間の内容を最初からすべて勉強し直す必要はない。多くの人は「全部忘れた」と感じていても、実際に抜けているのは特定の文法単元と高頻度語彙の一部だけであることがほとんど。まずセルフチェックでどこが止まっているかを特定し、忘れている単元だけを中学1〜3年の学習順序に沿って埋め直すのが、遠回りせずに「中学卒業レベル」の感覚を取り戻す最短ルート。

この記事のポイント

- 「全部やり直す」ではなく「止まった場所」を特定してから埋め直す

- 中学英語は1年→2年→3年で文法が積み上がる構造。抜けている単元は前の学年に戻って埋める

- 目標は中学3年間で1,600〜1,800語(小学校分と合わせて2,200〜2,500語程度)+基本文法パターンの運用

- 教材は薄い問題集を1冊、忘れている単元だけ回すので十分。分厚い参考書を1から読み通す必要はない

「中学レベルから怪しい」は珍しくない

社会人になってから英語を使う機会が減ると、be動詞と一般動詞の使い分けや、過去形・現在完了の区別といった基礎文法から自信がなくなっていくのは自然なこと。「今さら中学レベルからなんて」と感じる必要はなく、むしろ土台を先に固め直したほうが、TOEICや英会話などその先の学習が結果的に早く進む。

まず60秒のセルフチェック:どこで止まっているか

次の8文を見て、日本語訳を見ずに英作文がすぐに出てくるか確認する。詰まった文があれば、その文法単元が「忘れている場所」の候補になる。

  1. be動詞:「彼女は医者です。」→ She is a doctor.
  2. 一般動詞(3人称単数):「彼は毎朝コーヒーを飲みます。」→ He drinks coffee every morning.
  3. 過去形:「私は昨日、宿題を終えました。」→ I finished my homework yesterday.
  4. 現在進行形:「今、雨が降っています。」→ It is raining now.
  5. 未来(be going to):「来週、京都に行く予定です。」→ I am going to visit Kyoto next week.
  6. 比較級:「この本はあの本より面白い。」→ This book is more interesting than that one.
  7. 受け身:「この寺は1200年前に建てられました。」→ This temple was built 1,200 years ago.
  8. 現在完了:「私は一度、北海道に行ったことがあります。」→ I have been to Hokkaido once.

3〜4文以上ですぐに文が組み立てられなければ、次章のロードマップに沿って中1の範囲から順に埋め直すのが確実。1〜2文だけ怪しい場合は、その単元だけをピンポイントで復習すれば足りる。

中学英語3年間のロードマップ(自分の「止まった場所」を地図に置く)

中学英語は学年ごとに文法が積み上がっていく構造になっている。抜けている単元があるときは、必ずそれより前の学年の内容から先に埋め直す(後の学年の文法は前提知識を使うため、飛び級で埋めようとすると遠回りになりやすい)。

中学1年:文の骨組みを作る

be動詞(am/is/are)→一般動詞(3人称単数のsを含む)→疑問詞(What/Who/Whereなど)→現在進行形→canの文→一般動詞の過去形(規則・不規則変化)。ここまでで「主語+動詞」の基本パターンと時制の土台が完成する。

中学2年:時制と文の幅を広げる

be動詞の過去形・過去進行形→未来表現(be going to / will)→不定詞(to+動詞の原形)→助動詞(must/may/shouldなど)→比較級・最上級→There is/are構文→動名詞。ここで「過去・現在・未来」を自在に行き来できるようになる。

中学3年:複雑な文を組み立てる

受け身(受動態)→現在完了→分詞の後置修飾→間接疑問文・付加疑問文→関係代名詞。中学英語の集大成であり、ここまで運用できれば英検3級〜準2級レベルの土台が整う。

教科書会社や年度によって単元の順序は多少前後しますが、「be動詞→一般動詞→時制→比較→受け身→現在完了→関係代名詞」という積み上げの大枠はどの教材でも共通です。

忘れている単元だけをやり直す3ステップ

ステップ1:セルフチェックで穴を特定する。 前章の8文と上のロードマップを照らし合わせ、「止まった学年・単元」に印をつける。

ステップ2:その単元だけを薄い問題集で回す。 中学生向けの薄い文法問題集(1〜3年まとめ型)を1冊用意し、印をつけた単元のページだけを解く。分厚い参考書を1ページ目から読み通す必要はない——抜けている場所だけをピンポイントで埋めるほうが早い。

ステップ3:例文を声に出してアウトプットする。 解いた例文を音読し、できれば見ずに言えるまで繰り返す(シャドーイング)。文法は「分かる」で終わらせず「言える」まで持っていくことで、次の学習段階(英検3級・TOEIC)での運用力につながる。

単語はどれくらい覚え直せばいいか

文部科学省の現行学習指導要領では、中学校で新たに1,600〜1,800語程度、小学校で学ぶ600〜700語と合わせて中学卒業までに2,200〜2,500語程度を学ぶことになっている(旧課程の中学1,200語程度から増加)。ただし、これは教科書に出てくる語の総数であり、やり直しに必要なのはその全部ではない。まずは日常会話・読解の大部分をカバーする高頻度語500〜2,000語(本サイトのA1〜A2ロードマップの目安と同じ範囲)から優先して思い出すほうが効率的。

どのくらいで「思い出す」感覚に戻るか

戻る速さは、中学時代にどれだけ定着していたか、今どれだけ学習時間を確保できるかで大きく変わる。「◯ヶ月で完了する」といった断定はできないが、目安として、上のセルフチェックを2〜4週間おきに再テストし、詰まる文が減っているかで進捗を確認するのが現実的な方法。

学習指導要領などの制度的な数値は改訂される可能性があります。最終確認は文部科学省の公式資料で行ってください。

次のステップ:中学レベルを終えたら

セルフチェックの8文がすべてすぐに作れるようになったら、次の段階は英検3級〜準2級・TOEIC300〜400点あたりの土台固め。学習法をもう一段体系立てたい場合は英語独学ロードマップでCEFR全体の地図を、インプットの取り方を見直したい場合は英語学習の始め方を参照。将来的に短期留学も視野に入れているなら、初学者向けのセブ島留学のような選択肢も、この段階を終えてからの現実的な一歩になる。

よくある質問

Q. 中学の教科書を買い直して1から読むべき? A. 必須ではない。セルフチェックで抜けている単元が分かれば、その部分だけを薄い問題集で埋めるほうが早い。教科書は網羅性はあるが「今の自分に必要な範囲」を教えてくれない。

Q. 単語から先に覚えるべき?文法から? A. 中学レベルのやり直しでは、時制と文の組み立て方などの文法を先に固めるほうが効率的。文法の骨組みがないと、単語を覚えても文が組み立てられない。

Q. 英会話スクールに通わないと中学レベルは戻せない? A. 中学レベルの文法・語彙の再定着は独学で十分可能。話す練習(アウトプット)を増やしたい段階になったら、スクールや会話パートナーを検討するのが自然な順番。

出典

  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編」
  • 教育新聞「増加する小学校『英語』の単語数 背景に中学校のパンク?」(2023年3月29日)

Sources

  1. 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編」
  2. 教育新聞「増加する小学校『英語』の単語数 背景に中学校のパンク?」

FAQ

中学の教科書を買い直して1から読むべき?
必須ではない。セルフチェックで抜けている単元が分かれば、その部分だけを薄い問題集で埋めるほうが早い。教科書は網羅性はあるが「今の自分に必要な範囲」を教えてくれない。
単語から先に覚えるべき?文法から?
中学レベルのやり直しでは、時制と文の組み立て方などの文法を先に固めるほうが効率的。文法の骨組みがないと、単語を覚えても文が組み立てられない。
英会話スクールに通わないと中学レベルは戻せない?
中学レベルの文法・語彙の再定着は独学で十分可能。話す練習(アウトプット)を増やしたい段階になったら、スクールや会話パートナーを検討するのが自然な順番。
TOBIRA編集部
  • TOEIC/英検指導経験
  • 留学カウンセリング経験
  • 第二言語習得論(SLA)にもとづく編集方針

第二言語習得論(SLA)にもとづく学習設計と、留学・海外就職の一次情報検証を編集方針とする編集部。

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