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英文法のやり直しは基礎のどこから?つまずきやすい7つの型で気づき直す

結論
英文法のやり直しは、分厚い参考書を1ページ目から読み直すことではない。多くの社会人にとって英文法の問題は「知らない」ことではなく「知っているのに、話したり書いたりする瞬間に思い出せていない」ことにある。効率がいいのは、日本人が構造的に見落としやすい高頻度の文法ポイントを7つに絞り、一つずつ「あ、これだ」と気づき直していくやり方。会話が通じてしまう誤りほど、自分では気づきにくいというのが出発点になる。
この記事のポイント
- やり直しの目的は「新しく覚える」ではなく「知っているのに使えていない部分に気づく」こと
- 日本語に直接対応する仕組みがない7つの文法ポイントが、特に見落とされやすい
- 各ポイントは「ルール」「見落としやすい理由」「気づくコツ」の3点だけ短く確認すれば十分
- 深掘りが必要な単元(前置詞・冠詞・単語)は専用記事に接続し、ここでは総点検に徹する
なぜ「読み直す」ではなく「気づき直す」なのか
第二言語習得研究には、学習者は自分が意識的に「気づいた」インプットしか、実際に使える知識(インテイク)に変換できないとする気づき仮説(Noticing Hypothesis)という考え方がある。言語学者リチャード・シュミットが1990年、自身のポルトガル語学習の記録をもとに提唱したもので、「何度も耳にしていたはずの表現でも、明示的に指摘されるまで使えるようにならなかった」という自身の経験が出発点になっている。
この考え方を文法のやり直しに当てはめると、次のことが言える。会話やリスニングで大量にインプットを浴びても、自分が誤った形式を使っていることに気づく機会が少ない文法項目——たとえば意味がほぼ通じてしまう誤り——は、自然には修正されにくい。だからこそ、独学のやり直しでは「明示的に短く指摘して、意識的に気づく」プロセスをどこかに挟む必要がある。分厚い参考書を通読するより、狙いを絞った短い確認のほうが、この「気づき」を起こしやすい。
気づき仮説は第二言語習得研究における影響力の大きい枠組みだが、「気づきがどこまで必須か」は研究者の間でも議論が続いている(シュミット自身も1994年に立場を一部修正)。ここでは「明示的な確認は独学の助けになる」という実務的な示唆として使っている。
つまずきやすい基礎7ポイント(総点検)
共通するのは、日本語に直接対応する仕組みがないか、日本語なら省略できてしまう情報のため、頭では分かっていても実際の発話・作文では抜け落ちやすいという点。一つずつ、ルールと気づくコツだけ短く確認する。
1. 三人称単数の -s
ルール:主語がhe/she/it、または三人称単数の名詞で、動詞が現在形のとき、動詞の語尾に-s(またはes)をつける。 見落としやすい理由:現在形で語尾変化するのはこの組み合わせだけ。しかも-sを落としても意味はほぼ通じてしまうため、会話の中で誤りとして跳ね返ってきにくい。 気づくコツ:主語が「その他大勢の一人」を指しているかを一瞬確認する癖をつける。She often forget her umbrella. → forgets が正しい。
2. 可算・不可算名詞と much / many, a lot of
ルール:数えられる名詞は many、数えられない名詞(water, information, adviceなど)は much を使う(a lot of はどちらにも使える)。 見落としやすい理由:日本語は「たくさん」の一語で数えられる/数えられないの区別なく使えるため、区別そのものが意識にのぼりにくい。 気づくコツ:名詞を頭の中で「1個、2個」と数えられるか自問する。I have much books. → 数えられるので many books。
3. -ed / -ing 形容詞の混同
ルール:-ing は「そう感じさせる原因(もの・こと)」、-ed は「そう感じている人」を表す。 見落としやすい理由:日本語の「わくわくする」は主語が人でも物でも同じ形のため、英語で人と物のどちらに-ing/-edを付けるべきかが直感的に分かりにくい。 気づくコツ:I am exciting.(自分自身が人をワクワクさせる存在、の意味になってしまう)→ 感じているのは自分なので I am excited. が正しい。
4. 冠詞 a / the の抜け
ルール:初めて話題にのぼる可算名詞単数には a/an、話し手・聞き手の双方が「どれのことか」特定できるときは the をつける。 見落としやすい理由:日本語には冠詞という品詞自体が存在しないため、「つけるかどうか」を判断する発想がそもそも母語にない。 気づくコツ:完璧なルール化は難しい単元なので、まずは「可算名詞の単数形が裸(無冠詞)で出てきたら要チェック」という反射だけ持っておく。
5. 前置詞のイメージのズレ
ルール:in/on/atなどは、点・面・空間といった空間イメージをベースに使い分ける(時間表現にも同じイメージが転用される)。 見落としやすい理由:日本語の助詞(に・で・を)とは1対1で対応しないため、「日本語の助詞→英語の前置詞」という単純な変換では毎回どれかを間違える。 気づくコツ:この単元だけは奥が深いので、前置詞の使い分けで空間イメージから整理し直すのが近道。
6. 現在完了と過去形の混同
ルール:過去形は「過去のある時点の出来事」、現在完了(have/has + 過去分詞)は「その出来事が今にどうつながっているか(完了・経験・継続)」を表す。 見落としやすい理由:日本語の「〜した」は過去形にも現在完了にも当たるため、文脈だけで区別している日本語の感覚のまま英語を話すと、時制の選択がぶれる。 気づくコツ:「昨日/〜年に」のように過去の一時点を示す語(yesterday, in 2020)がある文では現在完了は使えない、というだけ覚えておけば多くの誤りは防げる。
7. 疑問文でのdo/does忘れと語順のズレ
ルール:一般動詞の疑問文は文頭にDo/Doesを置き、主語のあとの動詞は原形に戻す(Does she live here? であって Does she lives here? ではない)。 見落としやすい理由:日本語の疑問文は文末に「か」を足すだけで語順を変える必要がないため、英語でも「主語+動詞…?」のまま疑問形にしてしまいやすい。 気づくコツ:疑問文を作るたびに「Do/Doesを文頭に置いたら、うしろの動詞は原形に戻したか」を確認する。
この7つの使い方:3ステップ
ステップ1:7つを読みながら、自分の英作文・会話でやりがちなものに印をつける。 全部当てはまる必要はない。1〜3個で十分。
ステップ2:印をつけた項目だけ、短い例文を自分で3つ作ってみる。 参考書のページを探すより、今の自分の言葉で例文を作るほうが「気づき」が起きやすい。
ステップ3:1〜2週間後にもう一度この7つを見直し、同じミスをしていないか確認する。 一度気づいても、しばらく意識しないとまた元に戻ることがある。定期的な再確認が定着を後押しする。
次のステップ:やり直しの先へ
基礎の見落としに気づき直せたら、次は語彙のインプットを増やす段階(英単語の覚え方のコツ)や、学習全体の地図を確認する段階(英語独学ロードマップ)に進むのが自然な流れ。文法・語彙の基礎が固まってきたら、TOEIC600点の勉強法のように到達度を測るマイルストーンを設定すると、やり直しが「終わりのない復習」で終わらずに次の目標に接続できる。
よくある質問
Q. 文法書を1冊全部読み直すべきですか? A. 必須ではない。今回のような高頻度の見落としポイントに先に気づき直し、それでも分からない単元が見つかったときだけ、その単元をピンポイントで参考書やWeb解説で確認するほうが効率的。
Q. 英会話の練習を増やせば文法は自然に直りますか? A. 一部は直るが、全部ではない。誤りが通じてしまう文法項目(三単現のsなど)は、会話の中で訂正されるフィードバックが起きにくく、気づかないまま定着してしまうことがある。会話練習と並行して、明示的な確認を挟むのが現実的。
Q. 単語と文法、どちらを先にやり直すべきですか? A. どちらか一方に絞る必要はないが、文の骨組みを作る文法(特に上記7つのような基礎)が曖昧なままだと、単語を覚えても正しい文に組み立てられない。まず文法の基礎点検を短く済ませ、語彙は並行して積み上げていくのが無理のない進め方。
出典
- Wikipedia「Noticing hypothesis」
- 旅する応用言語学「Schmidt (1990) の気づき仮説(Noticing hypothesis)について」(2021年11月14日)
- The TEFL Academy「Common Mistakes For Japanese Learners Of English」
- GaijinPot「5 Grammar Mistakes Your Japanese Students Will Make」
Sources
FAQ
- 文法書を1冊全部読み直すべきですか?
- 必須ではない。今回のような高頻度の見落としポイントに先に気づき直し、それでも分からない単元が見つかったときだけ、その単元をピンポイントで参考書やWeb解説で確認するほうが効率的。
- 英会話の練習を増やせば文法は自然に直りますか?
- 一部は直るが、全部ではない。誤りが通じてしまう文法項目(三単現のsなど)は、会話の中で訂正されるフィードバックが起きにくく、気づかないまま定着してしまうことがある。会話練習と並行して、明示的な確認を挟むのが現実的。
- 単語と文法、どちらを先にやり直すべきですか?
- どちらか一方に絞る必要はないが、文の骨組みを作る文法が曖昧なままだと、単語を覚えても正しい文に組み立てられない。まず文法の基礎点検を短く済ませ、語彙は並行して積み上げていくのが無理のない進め方。
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