試験対策

HSK7級から9級とは|「新設」ではなく2022年開始の上級試験を正しく理解する

西安で撮影された中国語の書道・篆刻文字
Immanuel Giel / CC BY-SA 4.0

結論

「HSK7級から9級」は2026年に新しくできた制度ではありません。 中国教育部が定めた国家基準「国际中文教育中文水平等级标准」(2021年7月1日施行)に基づいて作られた試験区分で、世界共通の第1回試験はすでに2022年11月26日に実施されています。日本国内でも2026年時点で東京会場にて年2回、通常どおり実施されている既存の試験です。

一方、2026年にネットやSNSで話題になっている「HSK3.0」というキーワードは、HSK1〜6級の語彙・出題形式を刷新する別の改定を指しています(2026年1月31日に世界の一部会場で試行実施・結果発表は同年3月14日予定・本格実施日は公式に「另行通知=追って通知」で未定)。HSK公式サイト(chinesetest.cn)の告知には「HSK(一级)、HSK(二级)、HSK(七-九级)考试服务费不变」(HSK1級・2級・7〜9級の受験料は変更なし)と明記されており、7〜9級はこの2026年の改定対象に含まれていません。「HSK 7〜9級 新設」で検索して2026年の新制度だと誤解する人が多いため、この記事では公式一次情報にもとづいて経緯と試験内容を正確に整理します。

この記事のポイント

- HSK7〜9級の根拠となる国家基準は2021年7月施行、試験自体の世界初回は2022年11月26日——2026年の新設ではない

- 2026年に話題の「HSK3.0」改定はHSK1〜6級が対象。公式告知はHSK7〜9級の受験料を「変更なし」と明記し、対象から除外している

- 内容はリスニング・読解・作文・翻訳・スピーキングの5技能、計98問・約210分のPC(インターネット)方式

- 対象は中国への大学院進学者・中国語専攻の研究者・高度専門職など、HSK6級のさらに上を証明したい人

- 日本では2026年時点で東京会場のみ、年2回(5月・11月)実施、受験料37,400円(税込)

HSK7〜9級は「新設」なのか——正確な経緯

中国の教育部と国家語言文字工作委員会は2021年3月24日、「国际中文教育中文水平等级标准(GF0025-2021)」という国家基準を発表し、2021年7月1日から正式に施行しました。この基準は、それまでのHSK1〜6級だけでは測れなかった超上級者の熟達度を評価するため、学習者の中文水平を「三等九級」(初等=1〜3級、中等=4〜6級、高等=7〜9級)に整理し直したものです。

この基準にもとづき、HSK主催団体(中国教育部中外語言交流合作中心)は新たに「HSK(七級-九級)」試験を創設し、世界共通の第1回試験は2022年11月26日に実施されました。つまりHSK7〜9級という試験区分自体は、2026年時点ですでに実施開始から4年近くが経過した既存の試験です。

時期できごと
2021年3月24日中国教育部が「国际中文教育中文水平等级标准(GF0025-2021)」を発表
2021年7月1日同基準が正式施行。「三等九級」の枠組みが確定
2022年11月26日HSK(七級-九級)の世界共通・第1回試験を実施
2026年(現在)日本では東京会場のみで年2回実施が継続中(既存試験として運用)

「新設」の誤解に注意

「HSK 7級から9級 とは 新設 制度」と検索する人の多くは、2026年に話題の「HSK3.0」ニュースと混同していると考えられます。しかしHSK3.0の刷新対象は主にHSK1〜6級であり、7〜9級は2021年の基準制定時点ですでに新設され、2022年から運用されている別の話です。両者を混同したまま情報発信している記事も少なくないため、日付を確認しながら読むことをおすすめします。

何を測る試験なのか:5技能・計98問・約210分

HSK(七級-九級)は、HSK1〜6級のような「級ごとに別試験」の方式ではなく、1回の試験ですべての受験者が同じ問題を受け、得点によって7級・8級・9級のいずれかに認定されるという一発勝負の方式です。

公式サイト(chinesetest.cn)によると、試験は以下の5技能で構成され、総計98問・所要時間は合計で約210分です。

  • リスニング:ニュース、ビジネス交渉、討論、インタビュー、講演、ドキュメンタリーなど高度な題材を聞き取る
  • 読解:学術論文調の文章や評論など、抽象度の高い題材を読む
  • 作文:論説・分析系の文章を中国語で書く
  • 翻訳:出願時に選んだ言語(英語・ベトナム語・タイ語・日本語・韓国語のいずれか1つ)と中国語のあいだで翻訳する。日本語話者は日本語を選択できる
  • スピーキング:口頭での応答・説明・議論

各技能の出題数・配点比率は年度によって調整されることがあるため、正確な内訳は必ず公式サイト(chinesetest.cn)で確認してください。受験方式はPC(インターネット試験)のみで、マウス操作の基本とピンイン入力ができることが前提になります(日本国内の会場では機材は用意されますが、操作ミスによるトラブルは自己責任とされています)。

何点でHSK7級・8級・9級になるのか

HSK7〜9級は「7級用の試験」「8級用の試験」と分かれているわけではなく、共通の1試験を受けたうえで、総合得点によって認定級が決まります。日本の実施窓口(HSK日本実施委員会)が案内している判定基準は次のとおりです。

総合得点認定結果
314点以下HSK7級未満(不合格)
315〜349点HSK7級
350〜389点HSK8級
390点以上HSK9級

公式のCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)対照表は本記事執筆時点で確認できていません。「HSK6級のさらに上、非母語話者にとって到達しうる最上位クラスの熟達度」という位置づけで理解しておくのが安全です。

誰が受けるべき試験か

公式の対象者説明をまとめると、HSK7〜9級は主に次のような人向けの試験です。

  • 中国の大学院(修士・博士課程)への進学を目指す人
  • 海外で中国語・中国文学を専攻する学生(漢学・中国研究を含む)
  • 学術研究、あるいは文化・経済・技術分野での高度な中国語運用を仕事で必要とする専門職
  • すでにHSK6級に合格しており、さらに上の熟達度を客観的に証明したい人

逆に言えば、日常会話や一般的なビジネス場面での中国語力を証明したいだけであれば、多くの場合はHSK4級・5級・6級で十分です。まずは自分の目的にあった級をHSK1級から9級までの全体像で確認することをおすすめします。

日本での受験:会場・日程・受験料(2026年時点)

HSK日本実施委員会(hskj.jp)の案内によると、2026年のHSK7〜9級は以下の条件で実施されます(2026-07-17時点の公式サイト情報)。

  • 会場:東京会場のみ(地方在住者は上京しての受験が必要)
  • 日程:2026年5月9日(土)、2026年11月22日(日)の年2回
  • 受験料:37,400円(税込)
  • 方式:PC(インターネット試験)方式。基本的なPC操作とピンイン入力が必要

受験料はHSK1〜6級(例:6級11,550円)と比べてかなり高額で、これは試験時間の長さ(約210分)と5技能すべてを個別に採点する体制によるものと考えられます。最新の日程・申込方法は必ずHSK日本実施委員会の公式サイトで確認してください。

「2026年のHSK3.0」との関係——なぜ混同されるのか

2025年11月以降、HSK1〜6級を対象とした新シラバス「HSK3.0」への刷新が発表され、2026年1月31日には世界の一部会場で試行試験が実施されました(結果発表は同年3月14日予定)。この話題性の高いニュースと、すでに2022年から存在するHSK7〜9級が、検索や一部のブログ記事の中で混同されているのが実情です。

HSK公式サイトの告知ページには「本次考试为HSK3.0试行考试,目前2026年常规考试日期仍执行2.0版」(今回の試行はHSK3.0によるものだが、2026年の通常試験は引き続き旧2.0版で実施する)とあり、さらに「HSK(一级)、HSK(二级)、HSK(七-九级)考试服务费不变」(HSK1級・2級・7〜9級の受験料は変更なし)とも明記されています。これは、HSK3.0改定の主対象がHSK1〜6級であり、HSK7〜9級は今回の刷新サイクルの対象になっていないことを示す一次情報です。

HSK3.0の全体像・本格実施時期の最新状況はHSK3.0はいつから?最新情報で随時更新しています。7〜9級はそれとは独立した既存試験として、これまでどおり運用が続いています。

HSK7〜9級を取ると何ができるか

HSK6級までとは異なり、HSK7〜9級は「日常生活で困らない」レベルをすでに超えた、学術・専門領域での中国語運用力を証明する資格です。取得後に開けやすい進路の例としては、以下が挙げられます。

  • 中国の大学院(修士・博士)への出願要件を満たす、あるいは有利になる
  • 通訳・翻訳など、高度な言語運用力そのものが商品になる仕事への応募条件を満たす
  • 中華圏での学術研究職・専門職のポジションで、履歴書上の説得力が増す

より実務寄りの中国語キャリアを検討している場合は、台湾で働く日本人のリアルもあわせて読むと、どの級がどんな場面で評価されやすいかの相場観がつかめます。

よくある質問

Q. HSK7〜9級は2026年に新しくできた試験ですか? A. いいえ。根拠となる国家基準は2021年7月施行で、世界共通の第1回試験はすでに2022年11月26日に実施されています。2026年に話題の「HSK3.0」はHSK1〜6級を対象とした別の改定で、公式告知はHSK7〜9級の受験料を「変更なし」と明記しています。

Q. HSK7級・8級・9級は別々の試験を受けるのですか? A. いいえ。共通の1つの試験(リスニング・読解・作文・翻訳・スピーキングの5技能、計98問・約210分)を受け、総合得点によって7級・8級・9級のいずれか(または不合格)が判定されます。

Q. 誰が受けるべき試験ですか? A. 中国の大学院進学者、海外の中国語専攻学生、学術研究や高度専門職で中国語を使う人が主な対象です。日常会話やビジネス基礎レベルの証明が目的なら、HSK4〜6級で足りることがほとんどです。

Q. 日本ではどこで受けられますか? A. 2026年時点では東京会場のみで、年2回(5月・11月)実施されています。受験料は37,400円(税込)、PC方式で、基本的なPC操作とピンイン入力が必要です。

次のステップ——学習パスとの接続

HSK7〜9級はゴールというより、HSK1級から9級までの全体像の最上段にあたる区分です。まずは自分が今どの級を目指すべきかを確認し、HSK4級のレベル目安HSK対策の独学勉強法で土台を固めましょう。話す力を別途証明したい場合はHSKKとは何か、国内の検定と比較したい場合は中国語検定とHSKどちらを受けるべきかも参考になります。

出典

Sources

  1. HSK公式サイト HSK(七−九級)試験概要
  2. HSK公式サイト 2026年HSK3.0試行に関する告知(HSK1・2・7-9級の受験料変更なしを明記)
  3. HSK日本実施委員会 HSK7−9級試験案内(会場・日程・受験料)
  4. 中华人民共和国教育部「国际中文教育中文水平等级标准(GF0025-2021)」発表
  5. HSK(七−九級)全球首考(2022年11月26日)のお知らせ

FAQ

HSK7〜9級は2026年に新しくできた試験ですか?
いいえ。根拠となる国家基準は2021年7月施行で、世界共通の第1回試験はすでに2022年11月26日に実施されています。2026年に話題の「HSK3.0」はHSK1〜6級を対象とした別の改定で、公式告知はHSK7〜9級の受験料を「変更なし」と明記しています。
HSK7級・8級・9級は別々の試験を受けるのですか?
いいえ。共通の1つの試験(リスニング・読解・作文・翻訳・スピーキングの5技能、計98問・約210分)を受け、総合得点によって7級・8級・9級のいずれか(または不合格)が判定されます。
誰が受けるべき試験ですか?
中国の大学院進学者、海外の中国語専攻学生、学術研究や高度専門職で中国語を使う人が主な対象です。日常会話やビジネス基礎レベルの証明が目的なら、HSK4〜6級で足りることがほとんどです。
日本ではどこで受けられますか?
2026年時点では東京会場のみで、年2回(5月・11月)実施されています。受験料は37,400円(税込)、PC方式で、基本的なPC操作とピンイン入力が必要です。
TOBIRA編集部
  • HSK指導経験
  • 台湾/中国留学サポート経験
  • 第二言語習得論(SLA)にもとづく編集方針

HSK対策と台湾・中国留学の一次情報にこだわり、第二言語習得論(SLA)にもとづく学習設計を行う編集部。

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