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中国駐在は英語と中国語どちらが必要?現地の実情を都市別に整理

上海・浦東地区の高層ビル群のスカイライン
King of Hearts / CC BY-SA 4.0

結論

中国駐在で「英語だけで足りるか」と聞かれれば、答えは基本的にノーです。日系企業の本社・国際部門とのやり取りは日本語または英語で完結することが多い一方、現地スタッフのマネジメント・取引先との商談・タクシーや病院、賃貸契約といった日常生活は中国語が前提になる場面が中心で、英語が安定して通じるのはホテル・空港・観光地・駐在員が多いエリアなど限られた場所に留まる、というのが複数の現地レポートやビジネス関連の一次情報から見えてくる実情です。さらに、上海・北京のような国際都市とそれ以外の地方都市とでは英語の通用度に大きな差があるため、「どの都市に赴任するか」が実際に必要な語学力を大きく左右します。

この記事のポイント

- 本社・国際部門との連絡は日本語や英語で足りることが多いが、現地スタッフ・取引先・日常生活は中国語が前提になりやすい

- 中国全土で見れば英語の通用度は高くなく、大都市の一部エリア(ホテル・空港・観光地・駐在員コミュニティ)以外ではほぼ通じないとする現地レポートが複数ある

- 上海・北京などの国際都市と、それ以外の地方都市とでは事情が大きく異なる(都市による差)

- 外務省統計では2025年10月時点の中国在留邦人は9万2,928人(前年比-4.7%)。上海は世界の都市別在留邦人数ランキングで5位、香港は10位と、伝統的に上海・北京への集中度が高い

- JETROなど公的機関の大規模調査でも「英語か中国語か」を専門に切り分けた公開データは見つからず、本記事は複数の一次情報・現地レポートをもとに一般的な傾向を整理したもの

本社・国際部門とのやり取りは日本語・英語で足りることが多い

日系企業の中国拠点では、日本本社への報告や国際部門とのやり取りは、日本語または英語で完結するケースが少なくありません。これは駐在員自身が日本人であることに加え、本社側の担当者も日本語話者であることが多いためです。海外拠点の公用語を英語に定めている日系企業であっても、実際の社内コミュニケーションでは部署や相手によって日本語が使われる場面が根強く残っている、という指摘もあります。

つまり「本社向けの仕事だけをしていればいい」立場であれば、中国語がなくても業務が回ってしまう場面は確かに存在します。しかし駐在の実態は、それだけでは終わりません。

現地スタッフ・取引先とのコミュニケーションは中国語が前提になりやすい

駐在員の多くが直面するのは、現地採用スタッフのマネジメントや、中国企業の取引先との商談です。中国人スタッフには英語と中国語のバイリンガルも一定数いますが、全員がそうとは限らず、公平にマネジメントしようとすれば、結局は中国語でのコミュニケーションが避けて通れない場面が出てきます。

実際に上海で現地採用として6年近く働いた経験者のブログでは、「赴任したばかりの頃は中国語が話せず、電話対応もまともにできなかった」という体験が語られています。上海のような国際都市であっても、日々の実務レベルでは中国語なしでは成り立たない業務が存在することがうかがえます。

日常生活も中国語なしでは苦労する場面が多い

タクシーの配車、病院の受診、賃貸契約、宅配便の受け取りといった日常生活の場面では、英語が通じることを前提にできません。中国は観光地や一部の都市を除くと英語の通用度が高くないというのが、複数の旅行・現地情報サイトに共通する見立てです。駐在員コミュニティが大きい深センのような都市でも、「交通機関・ホテル・ショッピングモール・駐在員が多いエリアでは英語が通じやすいが、流暢さは地区や職業によってかなり差がある」と紹介されており、都市の中でも「英語が通じるエリア」は限定的だとわかります。

赴任先の都市によって必要な語学力は大きく変わる

中国駐在といっても、上海・北京のような国際都市への赴任と、地方都市への赴任とでは事情がかなり異なります。国際都市には外資系企業や大使館・領事館、日本人学校、日本人会などのコミュニティが厚く形成されており、英語や日本語だけでも生活の骨格を維持しやすい環境が整っています。一方、そうしたインフラが薄い地方都市では、生活の土台からして中国語が前提になりやすく、語学面でのハードルは相対的に上がります。

外務省の「海外在留邦人数調査統計」(令和7年=2025年10月1日現在)によれば、中国在留邦人は9万2,928人(在留邦人全体の7.2%、前年比-4.7%)で、ピークだった2012年の15万399人からは減少傾向が続いています。都市別に見ると上海は世界の都市別在留邦人数ランキングで5位、香港は10位と、依然として上位に位置します。中華圏の都市別推移では、上海・北京・蘇州で在留邦人数の減少が続く一方(蘇州は前年比-12.7%)、広州は前年比+1.3%、深センは+0.1%とほぼ横ばいで推移しており、日系企業・駐在員の分布は都市ごとに動きが異なることがわかります。こうした人の集積が厚い都市ほど、日本語・英語だけでも回る場面が相対的に多くなりやすい、と捉えることができます。

中国語がどのくらいできれば安心か——目安と限界

「何級あれば安心か」に唯一の正解はありませんが、実務者の間でよく語られる目安としては、タクシーや買い物など生活の土台を自力でこなせるレベルとしてHSK3級程度、現地スタッフとの実務コミュニケーションにはHSK4〜5級程度が挙がることが多いようです。ただしこれは業界横断で統一された公式基準ではなく、会社や職種によっても求められる水準は変わります。各級で具体的に何ができるかは、HSK3級のレベル目安HSK1級から9級までの全体像で確認しておくと、赴任前の学習計画が立てやすくなります。

JETROなど公的統計から見える限界——この記事が単一の数字を示さない理由

JETRO(日本貿易振興機構)は在中国日系企業を対象に大規模な実態調査を毎年実施しており、直近では「2025年度海外進出日系企業実態調査(中国編)」(2026年3月13日発表)で791社(製造業406社・非製造業385社)から有効回答を得ています。ただしこの調査は業況感・事業展開・関税影響・競争環境・調達といったテーマが中心で、英語と中国語のどちらが社内でどれだけ使われているかを専門に切り分けた公開データは確認できませんでした。同様に、公的機関による「駐在員の語学力」に特化した統計も見当たりませんでした。そのため本記事では、外務省の在留邦人統計と、現地で働く人たちの一次情報・体験談を組み合わせて、一般的な傾向として整理しています。数字で言い切れない部分は、正直にそう書くことを優先しました。

よくある質問

Q. 中国駐在で英語だけでも生活できますか? A. 本社とのやり取りなど一部の業務は英語や日本語で完結することもありますが、現地スタッフのマネジメント・取引先との商談・日常生活の多くの場面では中国語が前提になりやすいです。英語だけで完結すると考えるのはリスクがあります。

Q. 上海や北京のような都市なら英語で仕事はできますか? A. 国際都市ほど外資系企業や日本人コミュニティが厚く、英語や日本語だけでも生活の骨格を維持しやすい環境はあります。ただし実務レベルでは、上海のような国際都市でも中国語なしでは苦労する場面があるという現地の声があります。

Q. 中国語はどのくらいのレベルを目指せばいいですか? A. 唯一の正解はありませんが、生活の土台としてHSK3級程度、現地スタッフとの実務コミュニケーションにはHSK4〜5級程度が目安として語られることが多いです。詳しいレベル感はHSK1級から9級までの全体像を参照してください。

Q. 台湾駐在と中国本土駐在で必要な語学力は違いますか? A. 台湾は繁体字圏で日本語話者や親日層も多く、中国本土とは言語環境が異なります。台湾での働き方のリアルは台湾で働く日本人のリアルで紹介しています。

出典

次のステップ——駐在の言語環境から次の一手へ

自分の中国語がどの立ち位置にあるかは、HSK1級から9級までの全体像HSK3級のレベル目安でまず確認しましょう。中国語を活かせる職種を幅広く知りたい場合は中国語を活かせる仕事・求人一覧、取得した資格を応募書類にどう反映するかはHSKの履歴書への書き方で解説しています。中国本土より台湾でのキャリアに関心がある場合は台湾で働く日本人のリアルも参考にしてください。

Sources

  1. 外務省「海外在留邦人数調査統計」(令和7年10月1日現在)
  2. 中華圏都市別在留邦人数(2019-2025)上海・北京・蘇州の減少止まらず、香港・広州は微増(Shenzhen Fan、外務省統計の分析記事)
  3. 2025年度 海外進出日系企業実態調査(中国編)(ジェトロ)
  4. Is English Spoken in Shenzhen?(The China Journey、現地レポート)
  5. 中国上海で現地採用として働くリアルについて(現地採用者の体験記)

FAQ

中国駐在で英語だけでも生活できますか?
本社とのやり取りなど一部の業務は英語や日本語で完結することもありますが、現地スタッフのマネジメント・取引先との商談・日常生活の多くの場面では中国語が前提になりやすいです。英語だけで完結すると考えるのはリスクがあります。
上海や北京のような都市なら英語で仕事はできますか?
国際都市ほど外資系企業や日本人コミュニティが厚く、英語や日本語だけでも生活の骨格を維持しやすい環境はあります。ただし実務レベルでは、上海のような国際都市でも中国語なしでは苦労する場面があるという現地の声があります。
中国語はどのくらいのレベルを目指せばいいですか?
唯一の正解はありませんが、生活の土台としてHSK3級程度、現地スタッフとの実務コミュニケーションにはHSK4〜5級程度が目安として語られることが多いです。
台湾駐在と中国本土駐在で必要な語学力は違いますか?
台湾は繁体字圏で日本語話者や親日層も多く、中国本土とは言語環境が異なります。台湾での働き方のリアルは別記事「台湾で働く日本人のリアル」で紹介しています。
TOBIRA編集部
  • HSK指導経験
  • 台湾/中国留学サポート経験
  • 第二言語習得論(SLA)にもとづく編集方針

HSK対策と台湾・中国留学の一次情報にこだわり、第二言語習得論(SLA)にもとづく学習設計を行う編集部。

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