文化

台湾の文化・マナーで気をつけること|寺廟・贈り物・呼び方・夜市の基本

台北・龍山寺の本殿。台湾の寺廟でのお参りマナーを考えるうえで代表的な参拝スポット
Bernard Gagnon / CC BY-SA 3.0

結論

台湾には日本のような「心付けとしてのチップ」を渡す習慣はありませんが、中級以上のレストランやホテルでは会計に10%のサービス料(服務費)が自動的に加算されるのが一般的です。これはスタッフ個人へのチップではなく、店の運営費・人件費にあてられるお金で、カフェや屋台、夜市の店では基本的にかかりません。このほかにも、寺廟(お寺・廟)での参拝作法、贈り物にまつわるタブー(時計・傘・梨・緑の帽子など)、人の呼び方、公共の場でのふるまいなど、日本人の感覚とはズレのある暗黙のルールがいくつかあります。台湾は中華圏の中では比較的おおらかな社会ですが、知らずに相手を戸惑わせてしまう場面を避けるために、代表的なポイントを整理しました。

この記事のポイント

- チップは基本不要。中級以上の飲食店・ホテルでは10%のサービス料が自動加算されるが、カフェや夜市の屋台には通常かからない

- 寺廟では大声・脱帽なし・指差しはNG。線香は右手に持ち、両手で胸の前から鼻の高さまで(眉より上げない)掲げるのが基本の作法

- 時計・傘・梨・ハンカチ・緑の帽子は贈ってはいけない代表的なタブー。数字の4、慶事での白・黒の包装も避ける

- 人を呼ぶときは「姓+先生(男性)」「姓+小姐(女性)」が基本。親しくなればニックネームで気さくに呼び合うことも多い

- MRT車内は水を含めて飲食が全面禁止など、公共の場のルールは日本より厳格な面もある

チップ文化:基本は不要、ただしサービス料に注意

台湾には、欧米のように会計後に追加でチップを渡す習慣そのものがありません。タクシーやカフェ、屋台でチップを求められることも基本的にないと考えて差し支えありません。

注意したいのは、中級以上のレストランやホテルでは、会計に「服務費」として10%のサービス料があらかじめ上乗せされているケースが多いことです。伝票に「服務費10%」のように明記されているので、会計時に確認すればすぐわかります。このサービス料はウェイターやウェイトレス個人への心付けではなく、店の運営費や従業員の給与に充てられるお金という性質のもので、日本語の「チップ」とは少し意味合いが異なります。カフェや屋台、夜市の出店ではこのサービス料自体がかからないのが一般的です。つまり「台湾ではチップは要らないが、会計の内訳に見慣れない10%が乗っていても慌てなくていい」と理解しておくのが実用的です。

寺廟(お寺・廟)での参拝マナー

台湾の街を歩けば、道教や仏教、あるいは両者が融合した「寺廟」と呼ばれるお寺・廟に自然と出会います。観光客でも参拝は歓迎されますが、信仰の場である以上、最低限のマナーは押さえておきたいところです。

基本の心構えとして、大声で騒いだりふざけたりしない、他の参拝者の迷惑になるような撮影をしない、ゴミを捨てない、喫煙スペース以外で喫煙しない、といった配慮が求められます。服装は極端な露出を避け、化粧も控えめにするのが無難です。帽子は参拝の前に取りましょう——「帽子をかぶっていると神様に誰だかわかってもらいにくい」という考え方があるためです。

参拝の順序にも作法があります。台湾式の廟では、まず廟の外に向かって「天公(玉皇大帝)」に挨拶をしてから、中に入って主神、そして脇に祀られた神様の順(右から左、手前から奥、格の低い神様から高い神様へ)に参拝するのが基本とされています。出入り口は左側の「龍門」から入り、右側の「虎口」から出るのが伝統的な作法で、中央の門は神様専用のため使いません。また、神様の像を指で指し示す行為はタブーとされているので気をつけましょう。

線香の作法は、右手に線香を持ち、左手を添えて支え、両手を胸の前に構えたあと鼻先の高さまで上げます(眉や頭のてっぺんより高く上げないのがポイントです)。三拝したあと、心の中で自分の名前・生年月日・住所・お願い事を神様に伝え、さらに三拝して締めくくる、という流れが一般的な作法として紹介されています。線香の本数や供え方は廟によって細かな違いがあるため、迷ったら周りの参拝者の様子を見るか、廟の係の人に尋ねるのが確実です。

贈り物のタブー:発音がつくる「縁起の悪さ」

中国語には「諧音(同じ・似た発音の言葉に別の意味を重ねる言葉遊び)」の文化が強く根付いており、台湾の贈り物のタブーの多くもこの発音の連想から来ています。中国本土とも共通するタブーが多いため、台湾の取引先や友人だけでなく、中華圏の相手全般に贈り物をする際の基礎知識として押さえておく価値があります。

  • 時計(鐘):「時計を贈る」は中国語で「送鐘」。これが「死者を看取る・葬儀を行う」を意味する「送終」と同じ発音になるため、置き時計や掛け時計は定番の贈答品ほど注意が必要なタブーです。
  • :「傘(伞)」の発音が「散る・別れる(散)」と似ているため、友情や関係が壊れることを連想させます。
  • :「梨(lí)」は「離れる(离)」と同じ発音です。特に梨を分け合って食べる(分梨)のは「離別」を連想させ、お見舞いに梨を持っていくのも避けたほうがよいとされています。
  • ハンカチ:ハンカチは涙を拭くもの、つまり悲しい別れを象徴するとされ、贈り物には向きません。
  • 緑の帽子:男性への贈り物として絶対に避けたいのが緑色の帽子です。「緑帽子(緑帽)をかぶる」という言い回しが「妻に不貞を働かれた夫」を意味する強いタブーとして定着しているため、冗談であっても男性にプレゼントしてはいけません。

数字と色にも意味がある

数字の「4」は中国語の発音が「死」と近いため、中華圏全域で避けられがちな数字です。中国本土ではホテルや病院、集合住宅で4階そのものが存在しない建物も珍しくありません。台湾でも病室・ホテルの部屋番号・マンションの階数などで4を避ける傾向がありますが、中国本土ほど徹底されているわけではないとも言われています。

色については、白と黒は伝統的に弔事(お葬式)を連想させる色とされ、結婚祝いなど慶事の贈り物の包装には向きません。台湾でもっとも縁起がよいとされる色は赤で、迷ったら赤系統の包装を選んでおけば大きく外すことはないでしょう。

人の呼び方:先生・小姐・女士の使い分け

初対面やビジネスの場面では、日本語の「〇〇さん」にあたる呼び方として「姓+先生(シェンション、男性向け)」「姓+小姐(シャオジエ、女性向け)」を使うのが基本です。例えば王さんという男性には「王先生」、女性には「王小姐」と呼びかけます。台湾語の「先生」には日本語の「先生(教師)」という意味はなく、あくまで「〜様」に近い敬称だという点も覚えておくとよいでしょう。

もう一段フォーマルな敬称として「女士(ニュシー)」もありますが、これは40代以上の落ち着いた印象の女性や、社会的に名の知れた女性に対して使われることが多く、若い女性に使うと「そんな歳じゃない」と受け取られることもあるため、場面を選んで使う敬称です。

一方で、台湾は一度打ち解けると距離の詰め方が早い社会でもあります。友人・同僚・同級生などの間柄になれば、ニックネームや下の名前で気さくに呼び合う関係になることも珍しくありません。最初は「姓+先生/小姐」で丁寧に、親しくなったら相手に合わせて呼び方を変えていく、というくらいの感覚で構えておくとよいでしょう。

夜市・公共の場でのマナー

台湾の夜市はほぼ現金払いが基本で、高額紙幣での支払いは避けるのが無難です。混雑した通路では人との距離が近くなるため、貴重品は肌身離さず管理しましょう。台湾の人々は総じてフレンドリーですが、公共の場で大声で話すことはあまり好まれない、という点は寺廟でのマナーとも共通しています。

また、台北などのMRT(地下鉄)車内では、水やお茶を含めて飲食が全面的に禁止されており、違反すると罰金が科される(日本円換算で3万円程度になるとされる)厳格なルールがあります。日本の電車では見かけないレベルの厳しさなので、移動中に喉が渇いても、駅のホームに出てから水分補給するくらいの心構えでいるとよいでしょう。

台湾ならではのビジネス基礎マナー:名刺交換とあいさつ

台湾のビジネスシーンでも、名刺は両手で渡し、両手で受け取るのが基本のマナーです。名刺は英語面と繁体字の中国語面を両方印刷した二カ国語仕様が一般的で、役職も明記されているのが普通です。相手を呼ぶときは「姓+役職」(日本語で言う「王部長」「陳董事長」のような呼び方)が丁寧とされ、若手のビジネスパーソンは英語のファーストネームを名乗ることも増えています。

ここで紹介したのはあくまで台湾らしいひとことレベルの基礎マナーです。名刺交換の順番や接待での酒文化、贈り物の相場観など、より踏み込んだ中華圏のビジネス習慣については、中国商習慣とビジネスマナーで詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 台湾ではチップを払うべきですか? A. 基本的に不要です。ただし中級以上のレストランやホテルでは会計時に10%のサービス料が自動的に加算されるのが一般的で、これはチップとは別の性質のお金です。カフェや夜市の屋台では通常かかりません。

Q. 台湾の寺廟でやってはいけないことは? A. 大声で騒ぐ、帽子をかぶったまま参拝する、神様を指で指す、中央の門(神様専用)から出入りする、といった行為は避けましょう。線香は右手で持ち、両手で胸の前から鼻の高さまで(眉より上げない)掲げるのが基本です。

Q. 台湾や中国で贈ってはいけないものは? A. 代表的なのは時計・傘・梨・ハンカチ・緑の帽子です。いずれも発音や連想から「別れ」「死」「不貞」を連想させるため、親しい間柄でも避けるのが無難です。お祝い事では白・黒の包装も避け、赤を選ぶのが定番です。

Q. 台湾の人はどう呼べばいいですか? A. 初対面やビジネスの場では「姓+先生(男性)」「姓+小姐(女性)」が基本の呼び方です。親しくなればニックネームや下の名前で気さくに呼び合う関係になることも多く、日本ほど堅苦しくありません。

出典

次のステップ——航海図のその先へ

台湾での暮らしや仕事を具体的にイメージしたい人は、台湾で働く日本人のリアル台湾留学の基本もあわせて読んでみてください。中華圏のビジネス習慣をさらに深く知りたい場合は中国商習慣とビジネスマナー、その根底にある人間関係の考え方は中華圏の「面子」とはで解説しています。夜市や寺廟で使える実践フレーズは台湾旅行で使える中国語フレーズレストランで使える中国語フレーズ、あいさつの基本はあいさつフレーズ28選から身につけられます。

Sources

  1. 台湾旅行.jp「【台湾でのチップ】ホテルやレストランやタクシーではどうする?」
  2. 旅するアルル「台湾ではチップは基本不要だけどここだけは押さえておこう」
  3. 台湾さんぽ「お参りをする際の順序とタブー」
  4. 台湾さんぽ「お線香のあげかた」
  5. cross-m.co.jp「中国における贈り物のタブー~流行っている、けれど贈ってはいけない」
  6. Domani(小学館)「財布、枕、傘、緑の帽子、時計。これらに共通している『送礼禁忌』っていったい何?」
  7. TLI日本中国語センター「中華圏で避けられる数字は?」
  8. cross-up.net「台湾華語 名前の呼び方・呼びかけ方!」
  9. 海外旅行保険たびとも「台湾旅行前に知っておきたい9つの注意点」
  10. Asian Business Cards「Taiwan - Business Card Guide」

FAQ

台湾ではチップを払うべきですか?
基本的に不要です。ただし中級以上のレストランやホテルでは会計時に10%のサービス料が自動的に加算されるのが一般的で、これはチップとは別の性質のお金です。カフェや夜市の屋台では通常かかりません。
台湾の寺廟でやってはいけないことは?
大声で騒ぐ、帽子をかぶったまま参拝する、神様を指で指す、中央の門(神様専用)から出入りする、といった行為は避けましょう。線香は右手で持ち、両手で胸の前から鼻の高さまで(眉より上げない)掲げるのが基本です。
台湾や中国で贈ってはいけないものは?
代表的なのは時計・傘・梨・ハンカチ・緑の帽子です。いずれも発音や連想から「別れ」「死」「不貞」を連想させるため、親しい間柄でも避けるのが無難です。お祝い事では白・黒の包装も避け、赤を選ぶのが定番です。
台湾の人はどう呼べばいいですか?
初対面やビジネスの場では「姓+先生(男性)」「姓+小姐(女性)」が基本の呼び方です。親しくなればニックネームや下の名前で気さくに呼び合う関係になることも多く、日本ほど堅苦しくありません。
TOBIRA編集部
  • HSK指導経験
  • 台湾/中国留学サポート経験
  • 第二言語習得論(SLA)にもとづく編集方針

HSK対策と台湾・中国留学の一次情報にこだわり、第二言語習得論(SLA)にもとづく学習設計を行う編集部。

本記事は教育目的の情報提供であり、ビザ・移民・法律に関する助言ではありません。手数料・ビザ制度・日程は変わるため、行動前に必ず記事内の公式リンクでご確認ください。